こんにちは。
今回は、近年増えてきている「サッカー分析官」と言う役割において、一番大事なことについて話していきます。
私は、スペインのマドリッドでサッカー指導者として活動して6シーズン目を迎えます。
過去には、スペイン1部リーグのセカンドチームの分析官として活動をした経験もあります。
また、UEFA(ヨーロッパサッカー協会)のサッカー指導者ライセンスも保持しています。
そんな私がサッカー分析官として一番大事なことについて話していきます。
第一監督の考えが一番大事!
サッカーチームのスタッフとして活動する時、スタッフの中にはさまざまな役割があります。
スペインの場合、次のような役割があります。
- PRIMER ENTRENADOR:第一監督
- SEGUNDO ENTRENADOR:第二監督
- PREPARADOR FÍSICO:フィジカルコーチ
- AYUDANTE:アシスタントコーチ
- DELEGADO:(翻訳が難しいですが)マネージャー
*試合の公式記録に関わるような仕事です。例:審判にメンバー票を出したり、試合中の交代手続きなど多岐にわたります。 - FÍSIO:トレーナー(スペインではフィジカルコーチと明確に役割が分かれます。)
- ENTRENADOR DE PORTERO:ゴールキーパーコーチ
- ANALISTA:分析官
- NUTRICIONISTA:栄養士
- READAPTADOR / REHABILITADOR:リハビリ担当者
そして、この中で最も大事な役割は、「第一監督」です。
どの役割も非常に重要なものです。
しかし、すべてのチームスタッフは「第一監督」「チーム」のために働きます。
第一監督がどんなことをしたいのか、何を必要としているのかに応じて、チームスタッフはそれぞれの分野で最大限の力を発揮しなくてはいけません。
チームスタッフは、第一監督のサポート役です。
分析官として大事なことは「エゴを捨てる」と言うこと
第一監督がチームスタッフの中で一番大事と言うことを前提に、本題に入ります。
では、分析官として大事なことは何なのか?
それは「エゴを捨てる」と言うことです。
自分がこうしたい、ああしたいと言うことを、監督の考えも考慮せずに言うことはNGです。
要は、自分の考えたアイディアをやりたいだけならば、その時は「分析官」をやめて「第一監督」になるべきです。
分析官の仕事は、監督が必要とする情報を与え、監督のサポートをすることです。
例えば、1−4−3−3のフォーメーションでボールを保持しながら前進したいと考えている監督に、「いや、フォーメーションを1−3−5−2に変えて、縦にボールをどんどん送るべきです。」なんて言う分析官がいたとしたら、もうそれは“エゴ”です。
監督の持つプレーモデルや仕事の仕方をできる限り深く理解し、それに応じて監督が必要とする情報を常に準備することが分析官の仕事です。
エゴを捨てましょう!
分析官はロボットではない!

それじゃあ、やりがいがない。自分の考えていることを伝えられないなんて。
まるでロボットみたいじゃないか!
ここは非常に誤解を招きやすい点ですので、実際の例をもとに話します。
分析官の仕事にはいくつかありますが、ここでは大きく3つに分けて紹介します。
①「自チーム分析(チームの試合や練習を見てチームのプレーモデルに基づいて分析)」
②「相手チーム分析(対戦相手の試合を見て対戦相手のプレーモデルや戦い方などを分析)」
③「データ分析(データ収集。数字から上記2つの分析内容を根拠付けるサポートをする)」
これを踏まえて、例を出します。
例①:2023-2024シーズン スペインユース2部リーグ 監督A
スペインユース2部リーグのマドリッド州のグループにおいて、リーグ最小失点のレアル•マドリッドBに次いで、このチームは失点数2位でした。アトレティコ•マドリッドBの失点数このシーズンは3位でした。


このシーズン、リーグ戦の結果はよくありませんでしたが、中盤での守備ではかなりの成果を上げることができました。
例②:2023-2024シーズン ラージョのセカンドチーム(U23)監督B
同シーズン、私はラージョ•ヴァジェカーノのセカンドチーム(U23)でも分析官をしていました。
ユースの方では守備で結果を出していた一方、こちらのチームではとにかく攻撃の局面にフォーカスしてトレーニングすることが多かったです。
実際、守備をメインテーマにした練習は1週間に1日あるかないかくらいでした。
前半戦残り2試合のタイミングで、チームの調子が悪くなってきた時、私は次のような報告書を作りました。



内容は、「失点を減らすことと守備のトレーニングも行うことの必要性」と「そのためのアイディア」です。

いや、自分のアイディア伝えてるじゃん!
エゴは捨てなきゃいけないんでしょ。
失点を減らすとなった時、当時一番最初に考えたことは、ユースで結果の出ている中盤での守備をすることでした。
しかし、このチームの監督は中盤での守備を採用していませんし、守備に焦点を当てることよりも攻撃に焦点を当てることを大事にしていました。
そこで、私が伝えたことは「失点を減らすためには、ボールを握る時間をより長くしよう。」と言うことでした。
そして、その攻撃の質を高めるには“守備のトレーニング”も必要なのではないかと提案したのです。
その当時、チームはボールを保持しながら前進したいのにも関わらず、縦に急いだり、無理に中央から相手の守備を崩そうとして、ボールを失う数が非常に多かったのです。
それらも含めて監督に伝えました。
ここで伝えたいことは、チームに必要であろうことを客観的な根拠をもとに、そして監督の考えをもとに伝えることが大事だと言うことです。
この報告書の後、チームは少しずつですが“守備のトレーニング”もするようになりました。
まとめ
ここまで、サッカー分析官にとって大事なことについて話してきました。
順番に振り返っていきましょう。
まず、チームスタッフの一員として活動する時に大事なことは次のことでした。
第一監督がどんなことをしたいのか、何を必要としているのかに応じて、それぞれの分野で最大限の力を発揮すること。一番大事なことは、第一監督の考えであると言うこと。
そして、今回のメインテーマである「サッカー分析官として一番大事なこと」は次のことでした。
「エゴを捨てる」
そして最後に、注意事項として次のことについても話しました。
サッカー分析官はロボットではない。頼まれたことだけを機械的にやることだけが仕事ではない。チームに必要であろうことを客観的な根拠をもとに、そして監督の考えをもとに伝えることが大事。
サッカー分析官を目指している人、今実際にサッカー分析官として活動している人は、ぜひこのことを考慮して、活動してみてください。
エゴを出さずに、監督が必要とすることを適切なタイミングで的確に伝えられるかどうか、ここにきっとやりがいを見出せると思います。
当たり前ですが、そのためにサッカー分析官は、サッカーに関する多くの知識を持つことが必要です。
これについては、当サイトを通して発信していきますので、他記事もぜひチェックしてみてください。
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