サッカーの分析を行う際、フィールド全体を一つのまとまりとして見ると、どうしても情報が漠然としてしまいます。
「どこでプレーが起きていたのか」「どのエリアで効果的だったのか」など、プレーの意味や意図を明確にするには、フィールドをゾーンに分けて捉えることが有効です。
今回は、サッカー分析において基本かつ実用的な考え方である、「縦3分割のゾーン分け」について紹介します。
フィールドを3つに分ける：Zona.1 / Zona.2 / Zona.3
この分け方では、フィールドを縦方向に3つに分割します。
- ゾーン1（zona.1）：自陣ゴール側のゾーン
- ゾーン2（zona.2）：中盤のゾーン
- ゾーン3（zona.3）：相手ゴール側のゾーン
なお、本記事ではゾーンを図で示す際、攻撃方向を「下から上」に設定しています。これは、サッカーにおける表現として、攻撃では「サイドバックが上がる」「前線に上がる」といった言い回しが使われる一方、守備では「下がる」「リトリートする」といった表現が使われるためです。
図の中でもこの言語感覚と一致させることで、直感的にプレーの方向性を理解しやすくする目的があります。
各ゾーンの特徴
ゾーン1：自陣ゴールがあるゾーン
- ゴールキックやビルドアップの起点になるエリア
- 守備リスクが高く、慎重なプレーが求められる
- オフサイドのルールが適用されない
- ペナルティーエリアが存在し、特有の再開ルールもある
ゾーン2：中盤のゾーン
- 両チームの選手が密集しやすく、スペースが少ない
- オフサイドが適用される
- 展開や奪い合いが頻繁に起きる戦術的なエリア
ゾーン3：相手ゴールがあるゾーン
- フィニッシュに直結する重要なゾーン
- 守備側にとってはもっとも危険なエリア
- 攻撃側は得点のチャンスを作るために仕掛けやすい
プレーモデルとゾーンの関係
このゾーン分けは、攻撃や守備といったプレーの局面と結びつけることで、より意味を持ちます。
攻撃時のゾーン活用
- ゾーン1：ビルドアップ（salida de balón）
- ゾーン2：展開・前進（zona de creación / desarrollo）
- ゾーン3：フィニッシュ（zona de finalización）
守備時のゾーン活用
- ゾーン1：高い位置での守備ブロック
- ゾーン2：中盤での守備ブロック
- ゾーン3：低い位置での守備ブロック
なぜこの分け方が重要なのか？
このようなゾーン分けを導入することで、以下のようなメリットがあります：
- プレーモデルや戦術意図の可視化
- コーチングやフィードバックの明確化
- 選手にとっての理解・判断の補助
- 映像分析やスカウティングの共通言語として使える
分析におけるゾーンの分割は、単なる「場所の分類」ではなく、戦術的理解を深めるための土台となります。
おわりに
サッカーを深く理解しようとするなら、フィールドをただの平面として捉えるのではなく、それぞれのゾーンに応じてプレーや判断を見ていく視点が不可欠です。
ゾーン1〜3というシンプルな分け方ですが、それぞれの意味を踏まえて観察すれば、見えてくるものが変わってきます。
次回以降の記事では、より細かいゾーン分け（横の5レーンなど）や、具体的な分析事例も紹介していく予定です。
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