はじめに:デスマルケとは?
サッカーにおいて「デスマルケ(desmarque)」とは、相手のマークを外すためのアクションを指します。重要なポイントは、マークがついている状態からのアクションであること。つまり、フリーの状態で動いても、それは「デスマルケ」ではありません。

スペイン語圏では非常に一般的に使われる言葉で、ポゼッションを重視するチームや戦術的にプレーする選手にとっては、プレーを受けるための前提条件ともいえる基本概念です。
今回は、デスマルケの中でも特に重要な2種類、
- デスマルケ・デ・アポージョ(Desmarque de Apoyo)
- デスマルケ・デ・ルプトゥーラ(Desmarque de Ruptura)
について、具体例とともに解説します。
デスマルケ・デ・アポージョ:味方をサポートする動き
「アポージョ(apoyo)」はスペイン語で「サポート」を意味します。
デスマルケ・デ・アポージョは、ボール保持者にとってプレーしやすい位置に動くことが目的のデスマルケです。パスコースを作り出したり、相手のプレス回避に貢献したりすることができます。

ポイント:
- 動き出しのタイミングが重要。
- マークがついてきているのかどうかを判断すること。
- 守備の選手の手前にできるスペースをいち早く察知する認知能力が鍵。
デスマルケ・デ・ルプトゥーラ:ラインの背後を狙う動き
「ルプトゥーラ(ruptura)」は直訳すると「崩壊」。ここでは相手の最終ラインを崩すことを目的としています。
デスマルケ・デ・ルプトゥーラは、守備ラインの背後に走る動きであり、スペースを突いて決定的なチャンスを作り出す場面で多く用いられます。

ポイント:
- 動き出しのタイミングが重要。
- マークがついてきているのかどうかを判断すること。
- 守備の背後にできるスペースをいち早く察知する認知能力が鍵。
使い分けがもたらすチームへの影響
このデスマルケを分類する目的としては、ドリブルにおける「運ぶ/仕掛ける」の分類と似ています。
つまり、選手がプレー中に的確な判断を下すため、あるいは指導者が練習メニューを作成する際(もちろんチーム分析・個人分析も含む)に、プレーの意味と意図を言語化する必要があるのです。
言語の共有化=プレーの共有。これが、チーム戦術の再現性や選手育成の土台をつくる重要なポイントになります。
おわりに:デスマルケは使い所と使い分けが重要
日本では「チェックの動き」や「矢印を出して逆で受ける」といった言葉でデスマルケが説明され、それらの動きが頻繁に使われます。
しかし、デスマルケにおいて大事なことは、使い所と使い分けです。
冒頭でも触れたように、デスマルケとはマークがついている状態からのアクションです。フリーの状態で動いても、それはパスのずれや意図の不一致といったプレーのミスにつながるおそれがあります。
また、アポージョなのかルプトゥーラなのかを見極めることも不可欠です。例えば、相手が明確に背後のスペースを消している状況で、やみくもにルプトゥーラを狙っても効果的ではありません。
だからこそ、デスマルケは「どこで」「何を目的として」行うのかを明確にすることが必要なのです。
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