前回の記事では、「自チーム分析① ― プレーモデルをもとに考える」というテーマで、自分たちのサッカー(プレーモデル)をどのように整理・構築していくかを見てきました。
今回はその視点を相手チームに向け、「相手のプレーモデル・傾向を探る」というテーマで進めていきます。
そして次回は、この相手チーム分析をもとにした「ゲームプランの立案」と、それに基づく自チームの準備・分析について考えていく予定です。
1.まずはフォーメーションから観察(静的スペースの把握)
最初に確認すべきは、相手の基本フォーメーションです。ここでは、以下の2点を押さえて観察します。
- 各局面(攻撃・守備・切り替え)での配置
- 各ゾーン(ゾーン1・2・3)での選手配置とそのバランス
この時点では、まだ「傾向」までは見えませんが、「形」と「配置の特徴」を把握することで、分析の土台をつくることができます。
※自チームと同じフォーメーションで戦う相手との試合映像を分析するのが理想です。
目的:噛み合わせと静的スペース(初期配置で空くエリア)の把握
2.相手の各局面のプレーから、プレーモデル・コンセプトを想定する
次に、実際のプレーを観察しながら、相手のプレーモデル(=プレー原則や狙い)を仮定していきます。
たとえば:
- 攻撃局面でロングボールが多い → 「ダイレクトプレー」を重視している
- ゴールキック時に前線からプレスをかけない → 中盤または低い位置に守備ブロックを設定している
このように、各プレーの「選択」や「頻度」から、相手のコンセプトを読み解いていきます。
▶ 組み合わせから見える全体像(プレーモデル)
各局面の傾向を組み合わせていくことで、相手チームのプレーモデル全体が立体的に見えてきます。
例:
前線には足の速い選手、最終ラインにはフィジカルとロングキックに長けた選手を配置。
守備では低い位置に堅固なブロックを築き、ボール奪取後は背後のスペースをスピードで突く。
→ 守備では我慢強く、攻撃では一気にスピードで仕留めるアグレッシブなチーム
このように相手のゲームモデルを理解することで、「強み・弱み」や注意すべきポイントを明確に伝えることができます。
例(指導現場の声):
「相手は低い位置で守備ブロックを作るから、我々は相手陣地で多くの時間をプレーできるだろう。でも、注意すべきはボールロスト後のカウンター。保持しているからといって油断せず、失った瞬間のリアクションがカギになる。」
3.プレーモデルを深掘り ― サブコンセプト・詳細を探る
さらに踏み込んで、「プレーの中身」を具体的に見ていきます。
ここでは以下の2点を明確にします:
- サブコンセプト:「いつ・どこで」そのプレーが行われるのか
- 詳細:「誰が」「どのように」関わっているのか
例:
- 相手フォーメーション:1−3−5−2
- 攻撃コンセプト:ダイレクトプレー
- ゾーン1(自陣)でCBやGKがサイドへロングボール
- ロングボールの落下点にはCarrilero(WB)、Delantero、Mediapuntaが集まる
- 数的優位を作り、相手SBを押し込む形
- セカンドボールには中盤とWBが即座に対応
このような分析を進めることで、「どこで、どんな狙いをもってプレーしているか」が見えてきます。
▶ 動的スペース(プレーによって生まれるスペース)の活用
プレーによって生まれるスペースの意図的な活用も見逃せません。
例:
Delanteroがロングボールを競る → それに引き出された相手SBの裏にMediapuntaが走りこむ → 背後のスペース活用が狙い
4.対策を考える:自チームとしてどう対応するか?
ここからは、分析した相手の特徴に対して、自チームとしてどのように準備・対応するかを検討します。
大切なのは、「相手の強みを消しつつ、自チームの強みを活かす」ことです。
例:自チームのフォーメーションが1−4−4−2の場合
- 前線2トップのプレッシングが限定的 → サイドハーフ(Extremo)をLateral寄りに配置
- 中盤4枚の**スライド(Basculación)**で、相手がサイドで数的優位を作るのを防ぐ
※「Basculación(バスクラシオン)」については、今後別記事で詳しく取り上げる予定です。
このように、相手のコンセプトを逆手に取るプランを構築することで、ゲームを優位に進める可能性が高まります。
おわりに|「見る目」を鍛えることの重要性
相手のプレーを分析する際、「強い・弱い」といった表面的な評価ではなく、
- どんなコンセプト・サブコンセプトに基づいてプレーしているのか?
- どこにどんな狙いを持っているのか?
といった視点を持つことが、戦術理解と指導力を深めるカギになります。
【分析の流れまとめ】
プレーモデル(コンセプト) → サブコンセプト → 詳細 → スペース → 対策
このステップで分析を進めていくことで、的確かつ再現性のある準備・戦略構築が可能になります。
次回予告
次回は、今回の「相手チーム分析」をもとに、「ゲームプランの立案」およびそれに基づく「自チームの分析と準備」についてお届けします。


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