はじめに:なぜスペースに注目するのか?
サッカーを分析するうえで、「スペース」は欠かすことのできないキーワードです。
なぜなら、サッカーとは「スペースをどう使うか、どう守るか」のゲームであり、攻撃も守備もすべてがスペースに関係しているからです。
加えて、サッカーは無限の空間で行われるスポーツではありません。
105×68m(国際大会基準)という限られたフィールドの中で、いかにスペースを見つけ、活用し、管理するかが勝敗を分ける重要な要素となります。
チームの戦術や選手のプレーを正確に理解・評価するためには、
「スペースをどう捉えていたか?」「どこにスペースがあったか?」「そのスペースはどう活用されたか?」という視点が不可欠です。
本記事では、分析においてスペースをどう捉え、どのように読み取るべきかを整理していきます。
スペースの種類と特徴
「スペース」と一口に言っても、実はさまざまな分類があります。
そのなかでも特に重要なのが、以下の2つの分類です。
■ 静的スペースと動的スペース
- 静的スペース:プレーが始まる前に存在する空間。
例:両チームのフォーメーションやシステムの噛み合わせから生じるライン間やサイドのスペース、セットプレー時にあらかじめ空いているゾーンなど。 - 動的スペース:選手やボールの動きによって一時的に生まれる空間。
例:DFのスライドやプレス対応によって一瞬空いた裏のスペース、味方の動きによって引き出された中央のスペースなど。
スペースを読む力=状況を読む力
分析者や指導者に求められるのは、単にスペースの存在に気づくことではありません。
大切なのは、「なぜそのスペースが生まれたのか?」「そのスペースはどう機能したのか?」という因果関係を読み解く力です。
特に重要なのは、次のような文脈です。
「誰が、なぜ、どういう意図でスペースを作ったのか?」
プレーの意図やチーム戦術とのつながりを読み取ることで、スペースの価値を正しく評価することができます。
分析の実践:スペースから見るべきポイント
実際に試合分析を行う際、スペースに注目するためには以下のような観点が有効です。
- どの局面で、どこにスペースが生まれていたか?
- そのスペースはどのようなプレーの連鎖で生じたのか?
- 誰がそのスペースを使おうとしていたか?実際に使えたか?
- 相手チームはそのスペースにどう対応していたか?守備で修正できていたか?
これらを整理することで、チームとしての戦術的な意図や、個々の選手の判断力・認知力をより深く理解することが可能になります。
おわりに:スペースを見る目が、分析力を深める
ただ漠然とサッカーを見るのではなく、
「誰が、なぜ、どういう意図でスペースを作ったのか?」という視点を持ちながら試合を見ることが、分析の質を高める第一歩です。
そして、スペースに対する理解は、単なる試合分析にとどまりません。
日々のトレーニング設計や選手へのフィードバックにも密接に関わる要素です。
「スペースを見る目」を養うことは、
指導者・分析官としての重要な武器となるのです。


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