はじめに
「海外で指導者ライセンスを取ってみたい」と考えたことはありませんか?
私はスペインで6年間サッカー現場に関わる中で、実際にUEFAライセンス取得を目指し、現地の講習に参加しました。
その経験を通じて、日本との制度や文化の違い、そして現場で求められる「指導者像」のギャップに数多く気づかされました。
今回は、スペインでのライセンス取得の流れとともに、講習でのリアルな学び、日本との違いについてお伝えします。
UEFAライセンスの仕組み(スペイン編)
UEFAライセンスは、以下の4つの階層に分かれています:
- UEFA C(7人制・11人制アマチュア/州内リーグ)
- UEFA B(11人制州内リーグ+一部の国内リーグ)
- UEFA A(11人制一部を除く国内リーグ+一定のヨーロッパリーグ)
- UEFA Pro(ヨーロッパにおける全てのサッカーリーグ)
スペインでは、レベル1〜3という国内ライセンスと連動しており、以下のような対応関係になっています:
スペイン国内資格 | UEFA資格の対応 |
---|---|
対応資格なし | UEFA C |
Nivel 1 | UEFA B |
Nivel 2 | UEFA A |
Nivel 3 | UEFA Pro |
※マドリッド州のリーグ制度をもとに記述しています。
スペインでの取得プロセス
① 入学条件
- スペイン語での意思疎通(最低B1レベル推奨)
- 義務教育修了証明(例:日本の高校卒業)
※スペイン政府への学歴認証手続きが必要 - 健康診断書の提出
② 授業とカリキュラム
- 戦術理論、技術指導、トレーニング計画、スポーツ心理学、フィジカル理論など
- 合計半年〜1年に及ぶ座学(指導実践も含む)
③ 実習
- 指導実習(サッカー協会登録チームで指導者として登録・活動)
- 実習終了後、レポート提出が必須。
④ 試験
- 各科目に課題があり、一定基準を満たすことで合格判定。
講習で感じた「リアルな現場」
- 型を再現するのではなく、「自分で考える」姿勢が重視される
- プレゼン形式で自分の考えを発表する機会が多い
- 毎回の授業後、受講者同士でフィードバックを交わす文化
- 年齢や経験に関係なく、全員が「一学習者」として扱われる
日本との違い
項目 | 日本 | スペイン |
---|---|---|
資格取得のハードル | 上級レベルはハードルが高め | 比較的アクセスしやすい |
講習スタイル | 一貫した型の学習が中心 | 双方向型、ディスカッション中心 |
実習の扱い | 登録チームなしでも取得可能 | クラブ実習が必須で、現場重視 |
学び続けるという姿勢
スペインでは「資格=スタートライン」にすぎません。
毎年多くの新しい指導者が育成され、競争も激化しています。そのため、講習後も継続的なインプットとアウトプットが当たり前。
クラブ内では、内部研修や勉強会が日常的に行われ、「学ばない指導者」はすぐに置いていかれます。
まとめ:スペインで学ぶ価値とは?
UEFAライセンス取得を通じて、私が最も強く感じたのは、
「指導者とは教える人であると同時に、学び続ける人である」ということです。
資格はあくまでスタート。そこから何を学び、どう現場に還元するかが問われています。
制度も文化も異なる日本とスペインですが、共通して大切なのは、
「選手の成長のために、自分自身も常にアップデートしていくこと」。
海外でのライセンス取得を考える方にとって、本記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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